確定申告をおこなうときに
必ず目にする言葉
”控除”(こうじょ)
「控除ってなに?」
「毎年目にするけど、よくわからないんだよね」
この記事ではそんな”控除”について
解説します。
控除は正しく理解すれば
節税につながるメリットがあります。
ぜひ最後まで読んで、
控除を正しく理解してください。
1.控除とは
カンタンな計算式で、
控除について、解説します。
こちらをみてください。
売上 ー 経費 ー 控除 = 所得
所得 × 税率 = 所得税
確定申告では、
上記の計算で出てきた所得税を、
税務署に申告します。
所得が少なければ、
所得税は少なくなります。
所得を少なくするには、
- 売上を減らすか
- 経費を増やすか
- 控除を増やすか
この3つしかありません。
経費は増やしたいと思っても、
売上を減らしたいと思う人は
あまりいませんよね?
そうすると残りの、
控除を増やすことができれば、
節税につながりそうです。
ただし、
控除はやみくもに増やすことが
できません。
人によって、
使える控除が決まっています。
では次に、
どんな控除があるかを
紹介します。
2.控除の種類
控除には以下のものがあります。
※所得税に関わる控除なので、
正しくは”所得控除”といいます。
便宜上、この記事では
”控除”という言葉で統一しています。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除(女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
全部覚える必要はありません。
- 誰でも対象となるもの
- 対象となるお金を払っている人の控除
- 対象となる環境にいる人の控除
3つに分けて、ご紹介します。
3.対象となる控除
3-1.誰でも対象となるもの
誰でも対象となる控除は
「基礎控除」と
「雑損控除」です。
以前は基礎控除の額は、
一律38万円でした。
令和2年度以降は、
下記のようになっています。
所得が、
2,400万円以下:48万円
2,400万円超〜2,450万円以下:32万円
2,450万円超〜2,500万円以下:16万円
2,500万円超:0円
※参照元 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
売上ではなく、
所得という点に注意してください。
もう一つは雑損控除です。
雑損控除では、
災害や盗難などの被害にあったときに、
その損失度合いによって、
一定の額を控除することができます。
万が一のときに使える制度なので、
ここではくわしく解説しませんが、
もしものときは、
国税庁のHPを確認ください。
雑損控除 国税庁HP
3-2.対象となるお金を払っている人の控除
対象となるお金を払っている人が
利用できる控除は、以下の6つです。
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄附金控除
医療費控除
1年間に支払った医療費の金額が
10万円を超えていると、
超えている分を控除することができます。
まぎらわしいのは、
控除できる金額は10万円ではない、
ということです。
仮に15万円の医療費を払っていると、
15万円ー10万円=5万円が
控除できる金額となります。
他にもまぎらわしい点がちらほら、、、
- 保険などで受け取った金額は除く
- 歯のホワイトニングなど美容目的の治療は対象外
くわしくは国税庁のHPか
最寄りの税務署で確認を!
社会保険料控除
健康保険、国民年金、厚生年金保険などの
社会保険料を支払った金額を
控除することができます。
フリーランスの人で健康保険料や
国民年金を支払っていれば
その金額が控除できます。
ここまで読んで、
副業サラリーマンも控除できるの?
と思われた人もいるはずです。
サラリーマンの人は、
お給料をもらうときに、
すでに社会保険料を考慮して、
税金計算が行われています。
このあたりのサラリーマンと
フリーランスの確定申告の違いも
別記事で解説していきますが、
ここでは「フリーランスの社会保険料」
と思ってください。
社会保険料控除 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm
小規模企業共済等掛金控除
個人事業主や中小企業、
フリーランスには退職金がありません。
小規模企業共済とは、
中小企業や個人事業主向けの
退職金制度です。
フリーランスの人も利用できます。
退職金になるということももちろんですが、
”掛金を支払うこと”に
節税のメリットがあります。
確定申告のときに、
支払った全額を控除することができます。
毎月支払う金額も1,000円〜70,000円の範囲で
500円単位で設定できますので、
無理のない範囲からはじめられます。
小規模企業共済については、
こちらのサイトにくわしく書かれているので
参考にしてください。
生命保険料控除
生命保険料も、
支払った金額に応じて、一定の額を控除できます。
年末調整で会社に申告する人も多いので、
馴染みがあるのではないでしょうか。
保険に加入した時期や、
支払った金額によって
控除できる金額はかわります。
毎年年末になると、
保険会社から通知が届きます。
控除できる金額や
確定申告の使い方が書いているので、
それを見て申告すれば、問題ありません。
生命保険料控除 国税庁HP
地震保険料控除
地震保険料も生命保険と同様に、
支払った金額に応じて、
一定の金額を控除することができます。
地震保険料控除 国税庁HP
寄付金控除
国や地方公共団体、認定NPO法人などに支払った
寄附金の一部を控除することができます。
寄付金控除の特徴は、
所得控除ではなく、税額控除をうけられる点です。
税額控除といっても、
難しくありません。
最初の式をもう一度、登場させます。
売上 ー 経費 ー 控除 = 所得
所得 × 税率 = 所得税
税額控除はこうなります。
売上 ー 経費 ー 控除 = 所得
所得 × 税率 = 所得税
所得税 ー 税額控除 = 支払う税金
税額控除の方が、
節税できる金額が大きくなっておトク、
とだけ覚えておいてください。
寄付金控除 国税庁HP
3-2.対象となる環境にいる人の控除
対象となる環境にいる人の控除は、
以下の6つです。
- 障害者控除
- 寡婦(寡夫)控除(女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。)
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
この6つは自分の置かれている
環境次第なので、
だれでも利用できる控除ではありません。
あてはまるかも、という人だけ
読んでみてください。
障害者控除
本人や家族に障害者がいるときは
障害者控除を受けることができます。
障害の状況によって、受けれる控除の金額がかわります。
障害者控除 国税庁HP
寡婦(寡夫)控除
本人が寡婦(夫を亡くした方)や
寡夫(妻を亡くした方)のとき、
受けることができる控除です。
男女によって受けれる控除額が変わるので、
注意してください。
寡婦(寡夫)控除 国税庁HP
勤労学生控除
本人が勤労学生の要件に当てはまれば
一律27万円の控除を受けることができます。
勤労学生控除 国税庁HP
配偶者控除
ここでいう配偶者とは、
単純に妻や夫のことではありません。
収入などの要件にあてはまる人が
配偶者控除を受けることができます。
配偶者控除のポイントは、
配偶者が受ける控除ではなく、
納税する人がうける控除だということです。
①旦那さん・・・納税する人
奥さん・・・配偶者 の場合
②奥さんの収入などの条件が
配偶者控除にあてはまる。
③旦那さんの所得税の計算に
配偶者控除が利用できる。
こういった流れです。
要は、奥さんを養っているから、
旦那さんの税金は少し安くしないよね、
という考えです。
後に出てくる
扶養控除も同じ考えです。
養う子供や高齢者(親など)がいるから、
税金は少し安くしないとね、
という考え方です。
もちろん、
奥さんが旦那さんを養っている場合も
同じ考えで、配偶者控除が
利用できます。
配偶者控除 国税庁HP
配偶者特別控除
配偶者特別控除は、
配偶者控除と同じです。
配偶者の人の収入によって、
控除できる金額が違うだけです。
一覧は国税庁のHPにありますので、
確認してみてください。
配偶者特別控除 国税庁HP
扶養控除
扶養控除の考え方も、
配偶者と同じです。
扶養家族とみられるのは
子供や高齢者(親など)です。
収入や年齢によって、
対象となるかどうかが変わります。
扶養控除 国税庁HP
4.まとめ
控除は聴き慣れない言葉なので、
つい敬遠しがちですが、
上手に利用すれば、
節税効果が高いものです。
例えば寄付をしたお金も、
国に認められている団体ならば、
寄付金控除として利用できます。
14種類の控除のうち、
だれでも対象となるものが
基礎控除と雑損控除の2つだけですが、
もう一つ、フリーランスの人が
絶対に利用するべき控除があります。
それが青色申告特別控除です。
次回はフリーランスの確定申告に欠かせない、
青色申告について、くわしくご紹介します。